膵臓がんの疑いがある方・診断された方へ

迅速な診断・治療を心がけています
膵臓がんの診断と治療は
私たちにお任せください。

地域がん診療連携拠点病院
市立東大阪医療センター

根治が難しい病気の1つ膵臓がん
早期発見・早期治療を行えば治る可能性もあります

膵臓がんはがんの中でも悪性度が高く、何らかの症状が出たときにはかなり進行していることも多いのが特徴です。根治が難しい病気の1つですが、早期段階で治療を行えば治る可能性はゼロではありません。症状や体の変化が起こった場合は、早めに病院で検査を受けていただくことを推奨します。

腹部の違和感など
次のような症状や
危険因子がある方は
一度検査を受けてみてください

急な糖尿病の悪化

糖尿病の人は、糖尿病ではない人よりも約2倍の頻度ですい臓がんになります。急に糖尿病になった、あるいは、元々糖尿病を持っていた人が急に悪化したときは膵臓がんの可能性があります。

身体や白目が黄色くなる黄疸

膵がんが大きくなり胆管がつまってくると、胆汁の流出が妨げられて黄疸が出現します。その際、うんちの色が白っぽく変化することもあります。また、普段よりも濃い色のおしっこに変わることをきっかけに黄疸に気付く人もいます。

背中の痛み、腹痛

膵臓がんが進行すると、お腹や背中の痛みを感じることがあります。その痛みが次第に強くなってくる場合は要注意です。また、膵臓の周囲にはたくさんの神経があるため、がんが神経を侵したときは突発的な強い痛みに変わります。

家族に膵がん患者がいる

家族内にすい臓がんの方が1人いた場合は、相対危険度(家族内にすい臓がんの方がいない人と比べて膵臓がんになりやすい確率)は4.5倍になります。また、家族内にすい臓がんの方が2人いれば相対危険度は6.4倍、3人以上いれば32倍になります。

体重の減少

がん細胞の増殖による栄養不良により、短期間で体重減少を来すことがあります。また、膵がんが進行すると悪液質の状態となり、消化管の機能低下(消化吸収障害・運動障害)や筋力低下を来したり、体がむくんだり、がん性腹水の出現によって腹部膨満が出現することがあります。

一人ひとりのセルフモニタリングが、
膵臓がんの早期発見・根治につながります

膵臓がんを少しでも早く見つけるためには、一人ひとりが“自分の体を自分で守る”という意識を持つことが大事です。
気になる症状や体に異常があればまずは検査し、早期発見を目指してください。

消化器内科部長 石井 修二

少しでも不安に感じている方は一度ご相談ください。
きっとあなたのお力になります。
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もしかして膵臓がんかもとご不安な方

膵臓がんの精密検査を受けてください

気になる症状がある患者さんは、まずはかかりつけ医でスクリーニング検査を行なってください。もし、スクリーニング検査にて膵臓がんが疑われる場合は、当院にて精密検査を行います。精密検査では患者さんの状態に合わせた検査を行い、早期発見につなげるような検査体制を整備しています。

血液検査(腫瘍マーカー、膵酵素)

腫瘍マーカーとは、がんの特徴的な微量の物質のことです。がんがあると腫瘍マーカーの量が増加します。血液中の腫瘍マーカーを測定することで、がんがあるかどうかを探ります。

膵臓がんにになると、膵管を流れている膵液がたまり、アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼなどの膵臓の酵素が血液中にでてきます。そのため、血液検査でこれらの酵素が高値を示したときは、膵臓の病気の疑います。

超音波検査

お腹の中を画像で見られる検査です。妊婦健診で行っている検査と同じようにジェルを塗り検査を行います。簡便で患者さんの身体に負担が少ないというメリットがあり、腫瘍部分が黒くなり、膵体(すいたい)部、膵尾(すいび)部の主膵管の拡張を検査します。
身体の構造上、腸管ガスが重なり合いやすく、膵臓全体を見ることができないことがあります。

腹部CT検査、造影CT検査

コンピューター断層撮影検査のことです。病変の有無だけでなく他臓器への浸潤や転移の有無まで診断する事が出来ます。
造影剤を使用すると、周囲臓器や血管への浸潤をより詳細に確認する事が出来るので、がんが疑われる場合には必ず施行すべき検査です。(造影剤アレルギーなどの禁忌事項がない方は造影CT検査を行います。)

超音波内視鏡検査(EUS)

口から超音波内視鏡(エコーを装備した内視鏡)を胃内に挿入し、胃壁にエコーを当てる事で胃の後ろにある膵臓を観察する検査方法です。通常の腹部エコーに比べ膵臓に近い位置からプローブを当てて観察出来るので正確な診断が可能とされています。
ただ、この検査は熟練した医師が行うために、どの医療機関でも可能というわけではありません。

MR 胆管膵管撮影(MRCP)

MRI検査時に膵臓がんが発生しやすい膵管と、胆道がんが発生する胆管や胆嚢を同時に撮影する検査方法です。
造影剤を使用しなくても良い点で検査リスクが少ない事や、膵炎を併発してERCP検査が難しい場合にも施行できる事が特徴です。

PET検査

PETとは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種です。放射性薬剤を体内に投与し、その分析を特殊なカメラでとらえて画像化します。
PET検査は、通常がんや炎症の病巣を調べたり、腫瘍の大きさや場所の特定、良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用します。

ERCP検査

内視鏡を十二指腸まで挿入し、内視鏡の先端から造影カテーテルを出して膵管や胆管内に進め造影剤を注入する事で、胆管や膵管の様子を観察する検査です。
膵臓がん検査としては腹部エコー、腹部CT、MRI(MRCP)などがまず行われ、膵臓がんが疑われた場合にEUSやERCPが行われるのが一般的です。

東大阪医療センターの早期診断を目指した検査の工夫

  1. 1 超音波内視鏡検査(EUS)
    当院では、画像分解能がCTやMRIより優れている超音波内視鏡検査(EUS)を行っています。当院では2014年にこの検査を導入し、現在も複数名体制で実施しています。
  2. 2 連続膵液細胞診(SPACE)
    “連続膵液細胞診(SPACE)”という方法も取り入れています。この方法では、まず内視鏡的経鼻膵管ドレナージ術(ENPD)にて膵管に細いチューブを留置します。その後、繰り返し膵液を採取して、膵液内のがん細胞の有無を確認します。ステージ0、1の膵臓がんの診断には特に有用です。

膵臓がんは進行が速い病気
適切な精密検査を作成し、
迅速に実行することが重要です

当院では、黄疸や胆汁うっ滞などの症状がみられてドレナージ(排液)が必要なケースや、腫瘍径が小さく早期段階と想定されるケースに対しては、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)を行います。一方で、黄疸や胆汁うっ滞がなく腫瘍径がおよそ10mm以上あり、かつ穿刺(せんし)ラインが安全に確保できるものには、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)での細胞診を行います。
この検査を行う際は細胞検査士が同席し、細胞を採取したその場で診断を確定する迅速細胞診(ROSE)という方法を用いているため、即日検査結果をお伝えすることが可能です。

膵臓がんの検査を行う病院の選び方

膵臓がんの診断には、CTやMRIでの画像検査のほかに、診断確定に必要な病理学的検査を行うために内視鏡検査(ERCP、EUSなど)が必須です。それらの機材が整い、膵腫瘍に精通した医師が常勤している医療機関での精査をお勧めします。 また、診断後に迅速に治療を開始できるよう、内科・外科ともに治療実績がある医療機関を選ぶと良いでしょう。当院では症例ごとに内科・外科・臨床腫瘍科の医師で精査ならびに治療方針を随時相談し合い、患者さんには無駄な時間を与えずにベストな医療を提供できるように心がけています。

検査から確定診断までの期間

かかりつけ医や外来検査(血液検査・CTなど)ですい臓がんが疑われた際は、なるべく早く入院精査できるように配慮しています。入院ののちERCPやEUS-FNAで精査した後は、およそ3~7日で細胞診・組織診の診断確定が得られます。

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膵臓がん 内視鏡検査数

  • 累計検査数
  • 278
  1. 2018年

    ERCP:39

    EUS-FNA:12

  2. 2019年

    ERCP:35

    EUS-FNA:20

  3. 2020年

    ERCP:41

    EUS-FNA:19

  4. 2021年

    ERCP:41

    EUS-FNA:24

※東大阪医療センターの膵臓がんの2018年〜2021年の検査実績
※ERCP: 内視鏡的逆行性胆管膵管造影、EUS-FNA: 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診

メディア掲載

医療情報メディア「メディカルノート」に掲載いただきました。

膵臓がんについて知る

症状が出たときには
進行していることが多い膵臓がん

膵臓がんはがんの中でも悪性度が高く、何らかの症状が出たときにはかなり進行していることも多いのが特徴です。 日本では1年間に約42,700人*が新たに膵臓がんと診断されており、近年増加傾向にある病気の1つです。その原因として、食生活の欧米化に伴う高脂肪食の摂取や膵脂肪化が挙げられます。
*国立がん研究センター病院『2020年のがん罹患数予測および死亡数予測の結果』に基づく

膵臓がんになりやすい人の特徴

飲酒や大量喫煙の習慣、慢性膵炎、糖尿病、肥満なども一般的な膵臓がんのリスクファクターです。このほか、膵管に粘液の袋(嚢胞:のうほう)ができる膵管内乳頭粘液性腫瘍(すいかんないにゅうとうねんえきせいしゅよう)という病気もリスクファクターになります。また、日本の膵臓がん患者さんの3~7%は膵臓がんの家族歴があるとされており、第一度近親者 に1人いれば4.5倍、2人いれば6.4倍、3人以上いれば32倍にリスクが上昇します。

患者さんの希望を尊重し、
膵臓がんの治療を行います

診断・治療・療養を一気通貫

手術は根治するためには必須の治療です。しかし、手術単独での根治度はまだまだ十分なものではなく、その他の治療(抗がん剤、放射線治療、免疫療法)を手術と併用して施行する集学的治療により、膵臓がんのよりよい治療開発がなされています。
また、疼痛(とうつう)や精神的苦痛が強い患者さんは、緩和ケア的アプローチも重要です。当院には緩和ケア専従医師が常勤しており、状況に応じて緩和ケア病棟への入院も可能です。診断・治療・療養まで、1か所の病院でフォローできる医療機関は限られており、これは患者さんに当院を選んで頂けるポイントの1つです。

手術

手術が最も「根治的な(治る可能性のある)」治療法となります。
手術は、CT画像を確認して「がんが取り切れる」と判断できた方が適応となります。原則的にステージ2までは手術が行われることが多く、ステージ3は実施できるケースとできないケースに分かれます。
また、膵臓の手術は合併症の発生頻度が高く、消化器外科の手術の中でも難易度の高い手術です。

手術を受けられるのかの目安として、階段を3階まで歩いて上がれるくらいの体力があれば、手術は受けられると考えられます。

薬物療法

手術が適応となる症例に対して術前・術後に一定期間抗がん剤を投与する“補助化学療法”と、手術困難例*に対する化学療法があります。いずれの場合も、がんが大きくなるのを防ぐ、つまり病勢を制御することを目標に化学療法を行います。 使用する薬は患者さんの希望を尊重しつつ、年齢や全身状態、副作用のリスクなどを評価したうえで、治療計画や用法・用量を決定することにしています。

*局所進行切除不能膵臓がんおよび遠隔転移を伴う切除不能膵臓がん

放射線治療

手術後、膵臓の一部に限局してがんが再発した症例については放射線治療で進行の勢いを抑える効果が期待できるため、積極的に放射線治療を行います。 骨転移による疼痛(とうつう)の緩和や、病的骨折などの予防・改善を目的とした放射線治療は有効性が確認されており、そういった患者さんに対しては希望があれば放射線治療を行っています。

東大阪医療センターについて

地域がん診療連携拠点病院として
専門的ながん医療の提供

本院は、厚生労働省より中河内二次医療圏(東大阪市・八尾市・柏原市)の「地域がん診療連携拠点病院」に指定されています。指定されるためには、がんに関する診療体制などについて、国が定める多くの要件を満たす必要があります。

患者視点での医療を提供

当院は、がんによる死亡率の20%減少とすべてのがん患者家族の苦痛の軽減、療養生活の質の向上を目標に、患者様が最大の利益を得ることができ、患者様の自律性を尊重し、患者様を公平に診療するとともに、医療資源が社会的に公正に使用される医療を行うよう努めています。

総合病院だからこそできる包括的ケア

当院は現在、診療科数35科、病床数520床からなる地域医療の中核病院です。
患者さんがご高齢で糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病だけでなく、他の病気を併せ持っていることも少なくありません。他科や他グループの応援も得て、根治性の向上と予後改善を目指し、あきらめない治療を目指しています。

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医師紹介

  • 消化器内科 部長
  • 石井 修二
  • 専門
  • 閉塞性黄疸:内視鏡的ドレナージ、診断、膵癌:内視鏡診断、治療、胆管癌:内視鏡診断、治療、胆管炎:内視鏡的ドレナージ、総胆管結石:内視鏡的採石

  • 資格
  • 日本内科学会 認定医、総合内科専門医、指導医
    日本消化器内視鏡学会 専門医、指導医
    日本消化器病学会 専門医、指導医
    日本肝臓学会 肝臓専門医、暫定指導医
    日本膵臓学会 認定指導医
    日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

  • 消化器外科 主任医長
  • 中島 慎介
  • 専門
  • 膵臓腫瘍(膵癌、IPMNなど):手術療法(膵切除)と化学療法

  • 資格
  • 日本外科学会 専門医
    日本消化器外科学会 専門医・指導医
    日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
    日本胆道学会 指導医
    日本膵臓学会 指導医
    日本肝胆膵外科学会 評議員
    近畿外科学会 評議員

よくある質問

当院では、かかりつけ医や外来検査(血液検査・CTなど)ですい臓がんが疑われた際は、なるべく早く入院精査できるように配慮しています。入院ののちERCPやEUS-FNAで精査した後は、およそ3~7日で細胞診・組織診の診断確定が得られます。

膵臓がんのスクリーニング検査は、かかりつけ医での検査(血液検査・腹部エコーなど)のほかに、人間ドックなどでの検診の受診を勧めています。膵がんを疑う症状があるときや、既にスクリーニング検査で膵臓がんが疑われている際は、まずは内科での詳しい検査が必要です。当院消化器内科は完全予約制のため、受診に際し、かかりつけ医などからの診察予約の取得および紹介状の持参をお願いしています。受診希望の際は、地域連携室までご連絡ください。

治療方法に納得がいかない場合には、別の医師の意見を聞くのもよいでしょう。

膵臓がんの診断には、CTやMRIでの画像検査のほかに、診断確定に必要な病理学的検査を行うために内視鏡検査(ERCP、EUSなど)が必須です。それらの機材が整い、膵腫瘍に精通した医師が常勤している医療機関での精査をお勧めします。 また、診断後に迅速に治療を開始できるよう、内科・外科ともに治療実績がある医療機関を選ぶと良いでしょう。当院では症例ごとに内科・外科・臨床腫瘍科の医師で精査ならびに治療方針を随時相談し合い、患者さんには無駄な時間を与えずにベストな医療を提供できるように心がけています。また、疼痛や精神的苦痛が強い患者さんは、緩和ケア的アプローチも重要です。当院には緩和ケア専従医師が常勤しており、状況に応じて緩和ケア病棟への入院も可能です。診断・治療・療養まで、1か所の病院でフォローできる医療機関は限られており、これは患者さんに当院を選んで頂けるポイントの1つだと自負しています。

医療機関のご紹介

住所
〒578-0947 大阪府東大阪市西岩田3丁目4−5
アクセス
電車
近鉄奈良線・八戸ノ里駅より北東に約1km(徒歩約12分)
バス
八戸ノ里駅からは
近鉄バス25番「市立東大阪医療センター」行きへご乗車ください
布施駅からは
大阪バス(東大阪西地区循環バス)「市立東大阪医療センター」行きへご乗車ください
駐車場のご利用について
駐車料金は1台1回1時間毎100円(税込)です
診療受付時間
午前8時30分から午前11時です(予約は除く)
休診日
土曜、日曜、祝日、年末年始(12月29日から1月3日)

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